2019年P2Pファイル共有ソフトに関する情報総まとめ|セキュリティごった煮ブログ

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2019年P2Pファイル共有ソフト関連情報総まとめ

add9th

2019年9月1日、P2Pネットワーク上の漏えいファイルやノード情報を調査する弊社「P2P調査サービス」が終了しました。
長年ご愛顧いただきありがとうございました。
それに伴い、弊社からP2Pファイル共有ソフトに関する最後の情報発信をさせていただきます。

【目次】
1.日本3大P2Pファイル共有ソフト
2.P2Pファイル共有ソフトに関連した歴史的ニュース
3.弊社P2P調査サービス関連の歴史
4.P2Pファイル共有ソフト利用者数

日本3大P2Pファイル共有ソフト

日本国内のユーザが多いWinny、Share、Perfect Darkについて、その特徴を弊社の調査結果を交えて紹介させていただきます。
※以下、P2Pファイル共有ソフトは「Winny、Share、Perfect Dark」のことを指します。

Winny(2002年~)

ピュアP2P方式を採用した日本製ファイル共有ソフトで、2002年5月に公開されました。通信の暗号化、データの中継転送機能といった情報の発信者に対する匿名性があるため、アニメ、映画、国内外ドラマ、音楽、アダルトなど著作権、児童ポルノなど人権を侵害した違法ファイルが数多く出回るといった状況を生み出しました。
Winnyの存在は、2chなどの書き込みを介して瞬く間にネット上に拡散し、テレビでも大々的に報じられました。
また、開発者の金子勇氏は2004年5月に著作権法違反(幇助)で逮捕されましたが「著作権侵害を手助けしようという故意はなかった」として2011年12月に無罪が確定しています。

Share(2004年~)

2004年に登場し、任意に選んだ隣接のノード(他のユーザ)に対し、ファイルを分割してアップロードする拡散アップロードと呼ばれる仕組みを持ちます。そのため、Winnyに比べ素早いファイルの流通を可能にしつつ、情報の第一次発信者に対しては、より匿名性を高めています。
また、32GBまでのファイルを扱えるため、DVD、TV番組などの映像データが数多く流通しています。
Winnyでウイルス感染などにより流出したファイルをShareネットワーク上に、第三者が故意に目立つ形でアップロード共有する"輸出"とよばれる行為も見受けられ、大きな問題となっていました。

Perfect Dark(2006年~)

2006年12月に登場し、WinnyやShareと同様に多くのアニメ、映画、国内外ドラマ、音楽、アダルトなど様々なファイルが流通しています。
さらにファイルを第三者が評価できる機能を持つため、偽物やダミーファイルが流通しにくいネットワークとなっています。
また、WinnyやShareなどの今までのP2Pとは異なる分散情報を利用しているため非常に高い匿名性を持っています。
2010年1月のダウンロード違法化の開始後も利用者が減少していませんでした。

P2Pファイル共有ソフトに関連した歴史的ニュース

社会問題への発展

2006年頃、Winny経由で感染するウイルスによる情報漏えいが社会問題になりました。
当時の安倍晋三官房長官(現内閣総理大臣)は、「国民の1人1人に注意してもらい、対策をとってもらわないと情報漏えいは防げない」、「最も確実な対策は、PCでWinnyを使わないこと」と訴えました。
Winny・Shareネットワークへの情報流出は、主に「Antinny系暴露ウイルス」と呼ばれるウイルスにパソコンが感染した結果、発生します。
ウイルスは、パソコン内の文書ファイルなどを収集し、圧縮ファイル(Zipファイル)に収納した後、Winny・Shareネットワークにアップロードします。
感染した漏えいしたファイル名には、仁義なき~.zipや殺人~.zipと命名規則があり、P2Pネットワーク上で収集されやすいのも特徴でした。

尖閣諸島中国漁船衝突事件

2010年9月7日午前、尖閣諸島付近で中国漁船と海上保安庁との間で起きた衝突事件では、事件の真実が映し出されている映像を国民に公開しないなど、政府の対応に疑問を抱いた海上保安庁職員(「sengoku38」こと一色正春氏)によって、2010年11月4日、インターネット動画サイト「YouTube」に、事件の映像が投稿されました。
YouTubeの映像はすぐに削除されましたが、第三者の手によって映像はWinnyにもアップロードされました。さらに、2chなどの書き込みを介して瞬く間にネット上に拡散し、テレビでも大々的に報じられました。

警視庁捜査情報流出事件

2010年10月28日に国際テロを捜査する警視庁公安部外事三課が作成した機密情報、日本国内のイスラム教徒の個人情報を含む資料が何者かの手によってWinnyネットワークに流出しました。
1ヶ月後の11月25日には、世界21ヵ国、1万人以上に所有者が拡大、事件を重く見た当局は、発信元となったルクセンブルクに捜査協力を要請、該当のサーバを調査しましたが、レンタルサーバであったことから身元の特定には至りませんでした。

番外編

歴史的ニュースではないですが、2009年頃からP2Pによる違法利用による逮捕者が多く出始めていました。
2015年から2019年本ブログ公開日までのP2Pファイル共有ソフト利用による逮捕者関連情報です。
(弊社が公開する「P2P利用状況調査」には未掲載の資料となります。)
※警察による逮捕・検挙者の関連情報は、報道発表などから判明した情報をもとに弊社が独自に集計を行いました。

2013年、2014年の逮捕者関連情報につきましては、下記をご参照ください。
 ■2013年度の逮捕者関連情報
 ■2014年度の逮捕者関連情報

P2Pファイル共有ソフト別逮捕・検挙者数割合(2015年~)

P2Pファイル共有ソフト別逮捕・検挙者数割合

P2Pファイル共有ソフト利用による逮捕者年齢割合(2015年~)

P2Pファイル共有ソフト利用による逮捕者年齢割合

P2Pファイル共有ソフト利用による逮捕者犯罪別割合(2015年~)

P2Pファイル共有ソフト利用による逮捕者犯罪別割合

弊社P2P調査サービス関連の歴史

P2Pと言えばネットエージェントと言われるくらい、P2P(ファイル共有ソフト)と弊社の関係は深いです。
日本3大P2Pファイル共有ソフトに関連するP2Pネットワークをすべて調査可能であるとして、多くの企業様から調査のご依頼をいただきました。
そのため、簡単に弊社のP2P調査に関する歴史を紹介させていただきます。

年月 出来事
2005年12月 Winny調査サービス開始
2006年12月 Share暗号解読の公表(ニュースリリース)
2006年12月 Share調査サービス開始
2007年1月 「Share調査システム」が新技術開発財団の2006年度第二次新技術開発助成先として選定される
2007年2月 拡散防止サービス開始(Winny)
2009年5月 Perfect Dark調査サービス開始
2010年1月 拡散防止システムに関わる特許公開(特許公開2010-20797)
2013年3月 Perfect Darkに関する捜査協力により京都府警 サイバー犯罪対策課より感謝状

※拡散防止サービスとは、P2P(ファイル共有ソフト)ネットワークへの情報流出が発見された際、被害を最小化するため、流出したファイルの情報と同じ情報(キー情報)を大量にネットワークに送信することで、新たにファイルを取得することを抑止し、被害を最小限に防ぐサービスです。

P2Pファイル共有ソフト利用者数

最後に直近のP2Pネットワークの状況としまして、昨年紹介させていただいたゴールデンウィーク期間におけるP2Pファイル共有ソフトウェア利用者数(ノード数)の2019年度版を紹介させていただきます。
※2018年度のも併せて記載しています。
10年ほど前、ほとんどいなくなると予想されていたP2Pファイル共有ソフトの利用者は、10年経った今でも多く存在していることが分かりました。

P2Pファイル共有ソフト利用者数グラフ

2019年の利用者数の推移を見ると、2018年とほとんど変わっていません。
つまり、未だに一定数のユーザがP2Pファイル共有ソフトを使い続けていることが分かります。
また、新規の著作物と思われるファイルが現在もP2Pネットワーク内に流出していました。
そのため、現在でも著作物の違法な共有は活発に行われていると考えられます。

弊社のP2Pネットワークの観測は終了しますが、今後も一定の利用者が見込まれ、著作物のダウンロードなどの違法行為が続くのではないでしょうか。

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